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中堅剣士講習会に参加して

 曽宮 健一     遠賀郡・中間市剣道連盟


 令和6年6月7日(金)~9日(日)の日程で、ロート奈良武道場において、第62回剣道中堅剣士講習会が実施され参加させていただきました。

 受講資格としては、【剣道教士七段で年齢50歳以下の者】【各都道府県剣道連盟に

おいて今後中核となり剣道界を担うことが期待できる剣士】とあります。

 受講者の概要は、各都道府県から1名(東京は2名)の受講者総数48名。内訳は、警察官:28名(警察職員含む)、教員:7名、刑務官:5名、会社員:2名、護衛官:1名、記載なし:1名、でした。最年少は39歳、最年長は50歳でした。女性の受講生が1名(和歌山)あり、体格・スピードが違う男性講習生と共に過酷な講習会を最後までやり遂げたことに敬意を表します。

 受講者の半数近く(20名程度)は全日本選手権にも出場しており、他にも東西対抗大会や各都道府県の大会で2位、3位と実績を積んだ受講生が参加されていました。

 今回が第62回の開催となり、過去の開催をネットで調べたところ、元々は【柳生の里】の【正木坂剣禅道場】で行われていたところ、施設と地理的条件を考慮して、平成13年から今回開催地のロート奈良武道場(奈良市中央武道場・鴻乃池道場)で行われることになったようです。

 今年の受講生は各都道府県から1名でしたが、以前は60名を超える年もあったよ

うです。また講習日程も平成30年までは5日間、令和元年から4日間になり、令和2年と3年は新型コロナ感染症の影響と思われる中止を経て、令和4年からは3日間の日程になったようです。宿泊先も以前は、会場近くのユースホステルで寝食を共にする合宿のような形態だったようですが、今は各受講生が各々ホテルを確保する形でした。

 【指導法】とある講習科目は、指導の仕方を講習する訳ではなく、実際に防具を着けて、徹底的に鍛えられました。

 普段子どもたちに指導しているような『腹から声を出す』、面タオルのつけ方(表裏・上下)、面を着けた後の小手をつける順序(左小手を着けた後に右小手を着ける)など、社会人となってから指導されることが無くなったことも指摘を受けるなど、特別な指導内容があったわけではありませんが、素振り一本からしっかり意識して取り組むことを求められました。手の内、振りかぶり時の竹刀の角度、振り上げ振り下ろしの速さ、左右素振りの手の返し、受講後に帰福してネットで調べて知りましたが、1000本素振りが名物?のようで、確かに素振りだけでも相当な数を振りましたが、途中で数えることを止め、一心に素振りを行いました。素振りだけでもこの調子なので、防具を着けての稽古内容は想像に難くないと思います。

 とにかく、基本に忠実に正しい剣道を求められ、切り返しも一般的な切り返しから、30本、50本、100本の切り返し、面の打ち込み、小手面の打ち込み、打ち込み、かかり稽古、息が上がることをモノともせず、講師の先生から『もう一本、もう一本!』と号令が掛かり、講師の先生からは『相手交代の合間に息を整えよ!』と言われますが、肩で息をする状態が交代途中の深呼吸で治まるわけもなく、とにかく、講師の指導内容に集中し、言われた通りに実技を行いながら、終了の時間が来るまで剣に取り組むのみでした。


 以下の指摘が心に残っています。

■蹲踞の際に、竹刀の剣先が交わらないように

■切り返しの際、足は跳ばない(全身を上下させない)、足の運びを確実に行う

■切り返しの元立ちは、相手の錬度に応じて、錬度の低い相手には掛かり手の左右面を摺り

 上げるように、錬度の高い相手には掛かり手の左右面を打ち落とすように、と使い分ける

■遠間から一歩入り込んで一足一刀の間に入る際、竹刀一本の幅分を擦り込むように中心を

 取る

■小手面を打たせる際、小手から面を打たせる時の竹刀の運びに注意する(基本技稽古法に

 倣う)

■【打ち込み】と【かかり稽古】の違いを理解する。【打ち込み】は元立ちが主導権を取

 り、打突する部位を指示しながらの稽古となるが、【かかり稽古】は掛り手が主導とな

 り、相手の隙を打ち込む要領で稽古を行うこと。

■理解し体得すること、やって見せ模範を示すこと

■剣道形は解説書を読み込み、原本にあたること

 剣道形・木刀による剣道基本技稽古法の講習では、所作も含め理合いを意識しながら細かな部分まで解説とご指導をいただきました。審判法の講習では、講習生が試合者となり、実際の審判を行いながら所作、旗の上げ方、審判の位置取り、有効打突の見極め(判定について周囲で見ている他の講習生や講師の先生方の見解を確認しながら、試合者自身にも問う)など、間違った判定は試合者の人生を左右することもあるという重大な責任感をもって務めなければならないことを再確認しました。

 全体の講習会を通して一貫していたことは、今回の講習会を経て講習生がそれぞれの地域において指導にあたる際、今回の講習会において講師の先生方が正しい模範を示していただいたように、指導者は正しい模範を示さなければならず、そのためには『聞いて理解した』ことにとどまらず、正しく体得することが必要であるといことでした。

 講習会で行われた厳しい稽古の意味は、自身の限界を超えて真剣に取り組む中で体得するために必要な過程であったのだと、講習会を終了して気付かされたことの一つです。

 今後は、今回の貴重な経験を糧として、自身の剣道の技術・技量を向上させ、自身の所属する地域の剣道界に微力ではありますが、お役に立てるように尽力したいと考えています。


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令和7年5月25日


株式会社 住まいる  曽宮 健一(Kenichi Somiya)

 
 
 

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